
モリンホール(馬頭琴)/ホーミー
モリンホール(Морин хуур)
モリンホールとは「馬の楽器」という意味で、遊牧騎馬民族が生んだ擦弦楽器だ。馬はモンゴル民族の間で最も尊ばれている動物であり、モリンホールの弦と弓、両方に馬のしっぽの毛が用いられる楽器は世界のどこにもないかもしれません。
この地球に生きる動物の細胞からうまれる毛の音色は人々の心の奥に生き届くという話もあります。
日本ではモリンホールの物語「スーホ―の白い馬」が有名であり、モンゴルでは「フフーナムジル」という民話が有名です。半世紀以上に渡り小学校の国語の教科書に載り、紹介されてきた楽器の音色を一度は聞いてみたかった方々が必ずいるはずです。
その思いを届けるためには日本で活動する私たちが力を合わせてその音楽を届けなくてはと感じました。
モリンホールは2003年にユネスコの「人類の無形文化遺産代表リスト」に「モンゴル民族が人類の文化遺産に貢献し伝統芸術を古典的な手法で発展させている楽器」として登録されました。
そして2022年は日本とモンゴルが外交関係樹立50周年を迎えた年でありました。お互いの文化を理解し、尊敬し合うことは両国の将来にとって大きな意味があることかもしれません。
日本モリンホール(馬頭琴)普及協会」は日本・モンゴル両国の芸術文化を通じて絆を深めるため、そしてモリンホール「馬頭琴」という楽器の可能性を計るために音楽仲間と共に「日本モリンホール(馬頭琴)普及協会」を発足いたしました。
ホーミー(喉歌 Khöömii)
ホーミー (歌唱法)
モンゴル遊牧民の習慣、生活、文化から生まれたホーミーは、自然と最も近く、そして人が楽器になったかのような、大変難しく興味深い歌唱芸術のひとつです。
ホーミーは人間の発声器官による音楽芸術の中でも全く異なる大きな特徴を持っており、一人の人間が2つの音を同時に美しいメロディーとして奏でるという大変驚くべきものです。
ホーミーと言う話については「ホ」はアルタイ語の「ヒ」「キ」という音から発生したもので、その意味は「人」。「ミー」は羊やヤギ、牛が鳴くという意味の語根からと言われています。
ホーミーの起源については数多くの説がありますが、その中の一つをご紹介しましょう。
昔金持ちの家から金品を奪い、貧しい人たちに分け与えていたある男が、追ってから逃れて隠れながら各地を渡り歩いていました。ある日川べりで一休みしていた時に、その川のうなるような水流音をまねて、同じような音を出そうと口から低い声を出しました。そこからホーミーの音が生まれ、ホーミーが出来上がりました。
ホーミーは、人間が聴こえない20KHz以上の周波数から、聴く人の脳波をα波に誘導する効果があると言われております。
トピックス:NHK 松任谷由実 モンゴルをゆく ホーミーへの旅(1996年)
土曜特集 松任谷由実 モンゴルをゆく ~神秘の歌声 ホーミーへの旅~(1996年)モンゴルには「ホーミー」という不思議な音楽が伝えられている。一人の人間が同時に2つの高さの音を出し、その歌声は病人など人々の心を癒す力を持つという。ユーミンがこの「ホーミー」を訪ねてモンゴルを旅しながら、地元の人々とのふれあいを重ね、その魅力を体感していく。